研究室でのサバイバルなブログ

研究室とプログラミングと日々の所感をがむしゃらに書いてます

最先端でない研究に価値がないという幻想をいかに克服するか

 

こんにちは、

今日は研究テーマの話です。

 

突然ですが、これを読んでいるあなたは”石油”と聞いて、どんな印象を持ちますか?

「石油なんて古い、地球環境に悪い、ガソリンスタンド、再生エネルギーの方が優れてる」

こんなところでしょうか。

とくに私は、石油なんて時代遅れだというイメージが強くありました。

しかしあろうことか、私は研究室で石油精製の研究をしております。

 

もちろん教授に与えられたテーマは、学術研究として、なぜそれを解明しなくてはならないかという点は理解できる。背景と既往研究の問題点から、この研究の必要性は分かっていた。

 

 石油を研究することにモチベーションが湧かない

 

しかし、私はどうしても、石油の研究はもうやりつくされた、時代遅れのものである印象を持っていた。そして、B4の1年間、ずっと石油の研究をやったけど、ついにその考えは変わりませんでした。

 

今の時代はやっぱり、再生可能エネルギーだ。水素とかバイオマス太陽光発電とか、目新しくて楽しそうなテーマはたくさんあるのに、どうして自分は石油なんて研究しているのか。そういう風に卑屈に考えてします。

 

ここまでくると、私は逆に、常人には理解できないような理由を欲する。他の人には分からない、しかし自分だけははっきりと分かる。言葉で表すこともできるけど、その真髄までは分野外の人には分からない、そんな理由。

 

余談ですが、ジョジョの奇妙な冒険にペッシというキャラが登場します。

 

dic.pixiv.net

 

彼の名言?に次のようなものがあります。

 

「わかったよ、プロシュート兄ィ!!兄貴の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた! 
 ブッ殺すって思った時は、兄貴ッ!すでに行動は終わっているんだね」 

「言葉」ではなく「心」で理解できた!というフレーズが私の心に刺さっています。

 

 心で理解するとはどういうことか

 

きっと教授は、なぜ今石油の研究が必要なのか、その理由を持っているはずです。

いや、どうでなくては困る。

だって教授は、石油化学の研究で博士号をとった人だから!!

 

それに教授は去年、石油学会に参加するために中東のどっかの国に出張に行った。中東と言えば石油だ。石油が採掘され、海を渡って日本に届き、また蒸留や精製を繰り返し、私たちの元に石油製品として届く。灯油やガソリンはまだしも、石油由来のプラスチック製品からではもうだれも石油の面影を見ることはないだろう。

 

石油の採掘国で、教授は多くのものを見聞きしたはず。現地の人と石油工業の未来を討論したはずである。

そのような経験があるから、教授は答えを持っているはず。たとえ言葉で伝えられずとも、心に秘めた理由が!!

 

 

しかしこの考えは、はたから見れば独りよがりの可能性がある。いわゆる象牙の塔というやつだ。大衆に研究の意義を分かってもらえる努力を怠ってはならない。 

 

だが残念ながら、情熱を持って石油化学を研究する意義を語ることはまだ私にはできない。これは 修行僧のように、何年も何年もそこに身をおいたものだけが獲得できる、神髄なのだ。

 

もしも、私が石油化学とは違う研究室に配属されたいたら、そして石油化学をやっている友達が身近にいたら、「いまさら石油とか、古くねw」と思う。口には出さずとも。

 

 

私「分かったよ、〇〇教授、なぜ今石油の研究が必要なのか。『言葉』ではなく『心』で理解したよ!!」 

 

こんな風に言える日が来るといいな。できれば修士を卒業するまでに。