私の研究スタイルがパラダイムシフトしてしまった
どうやら私の研究にパラダイムシフトが起こってしまったようです。
私がいつも使っている分析機器にガスクロマトグラフィーという装置があります。すごく優秀なやつで、私はこいつを1年間ずっと使い続けてきました。徹夜したときも私はこの装置がある部屋で寝ました。ちょっとエロい表現に換言すれば、こいつと一夜を共にしました。
しかし誰もいない部屋で、この機械の、ウィーンウィーンガシャーンという作動音を聞きながら眠るのは、多少の不気味さがありました。
卒論発表前はあまりに切羽詰まった状況から、分析がうまくいきますようにと、この機械に祈りを捧げたりもしました。
さて、この装置の使い方についてですが、中の構造はブラックぼっくでよいとして、分析するにはシリンジ(注射器のようなもの)で分析試料を装置の中に注入しなくてはなりません。一回の分析に60分くらいかかり、それを15本繰り返します。つまり、1時間ごとに装置の前でごにょごにょしながらなりません。ごにょごにょは一分くらいで終わりますが、それが1時間おきに15回なので、15時間かかるわけです。
人間さまでやるとこの作業が大変なわけです。
そこで人間様はオートサンプラーを発明しました。オートサンプラーが自動で試料をガスクロに注入してくれるのです。記事の下の方に、オートサンプラーの動画を載せておきます。まあ、自動車工場の自動で組み立ててくれるロボットアームみたいなイメージです。
さてさて、わけあって今まで使っていたガスクロが使えなくなりました。我らが教授が代替のガスクロを用意してくれたわけですが、オートサンプラーが装備されていませんでした。オートサンプラーがなしで分析する面倒くささは、上ですでに書きました。とにかくダルいのです。
私のモットーはITを駆使して、実験をラクチンにするというものです。それを信条としてやってきたのですが、これと逆行するような指示を教授から受けました。これをパラダイムシフトと言わずして、何というのでしょうか。
前置きがながくなりました。ここまでの話で「うちの教授やばぃぃ、まじ○害だわ」と言うかと思わせておいて、実はそうでもありません。
あまりにもオートサンプラーが便利すぎるあまり、必要もないのに再分析を繰り返してしまいました。教授によると、初めての分析、再分析、再久分析、再々々分析.....になるにしたがって、分析の信頼性は落ちるとのこと。
今までは結果が良くないとすぐにガスクロのせいにして、再分析する傾向がありました。
しかしこれからは、安易に再分析はしないようにします。ガスクロに心を込めて、試料を注入します。