プチ悪魔の証明「先生、装置が壊れています(汗)」先生「根拠は?(真顔)」
こんにちは、
壊れてる?壊れてない?
キングスマンです。
悪魔の証明を知っていますか?存在しないということを証明するのはめっちゃむずくねという意味です。(違ってたらごめんなさい)
去年の先輩で、実験がうまくいかないのを機械のせいにしている人がいました。
「分析結果がおかしいですが、分析機器が壊れているからだと思います」って。
ただ、この一言は教授の逆鱗に触れてしまったようで、この後先輩と教授のバトルが始まってしまいました。
理系の研究室にいた経験がない人であれば、「壊れてならしょうがなくね?」と思うでしょうが、理系の研究室ではその感覚ではまずいってわけです。
普段の生活と研究で使う機械は全く別物
ではでは、皆さんはどういう場面に出くわしたとき、「壊れた」という言葉を使いますか?
「掃除機が壊れた、洗濯機が壊れた、自転車が壊れた、パソコンが壊れた」
もしもパソコンであれば症状として、電源ボタンを押しても起動しない、OSが立ち上がらない、キーボードが反応しない、いろいろ考えられます。これらの症状に共通するのは、見ただけで故障と判断できるという点です。
では、研究室の機械はどうでしょうか?
私の研究室には分析機器がたくさんあります。それを使ってサンプルを分析します。そこで自分の望む結果が出なかったからといって、何の考えもなしに「先生、機械が壊れてます」とか言うと怒られます。
自分の予想と違う結果が出ても、原因はいろいろ考えられます(実験自体に失敗していたかもしれないし)
それなのに、うまくいかなかった原因を機械の故障に押し付けるのは、一種の思考停止状態なわけです。先生はそこを叱っています。
ただ、半年間も分析の問題と格闘して、機械のせいにしたくなる気持ちは、すごくわかります。
分析中にコンピューターがエラー画面を表示して使用者に教えてくれるのであれば、簡単です(実際、そういうパターンもあります)
しかし 一番厄介なのは、機械がそれっぽい結果を出力してくるのだけど、真の値かどうか疑わしいケースです。特に新しい試料を分析したときには困ります。
研究の性分って、誰もやったことがないことをやることです。なので分析結果が真の値かどうかなんて、確認できない(不可能ではないけど、困難)です。要するに、数学の問題みたいに解答はないんです。目の前にあるデータがすべてです。
世界のオンリーワンのそのデータが信頼できるかどうか判断するのも、研究者の能力の一つでしょう。でも結局は経験の有無なので、分からなかったら先輩や先生にきけばいいと思います。
あとは日ごろのメンテナンスが大事ってことです。
分析機器は高額なので、やすやすと買い換えられるものではないです。異常を感じたら、自分のため研究室の他の人のために、可及的速やかに報告しましょう。